ばん太です。
今回は、コラムという形でまさに「裏話」的なお話をしたいと思います。
「ふ~ん」くらいの気持ちで読んでいただけると幸いです。
電動自転車の代表的なメーカーといえば、現在はヤマハ、パナソニック、ブリヂストンの三社です。
この三社は、単なるライバル会社という関係だけではありません。
電動自転車市場は、2018年現在やや複雑な様相を呈しているのです。
(注:以下はばん太の憶測の話も多く含みます。話半分に聞いて頂ければと思います)
ヤマハとブリヂストン 、関係悪化?
つい数年前までの話です。
ヤマハとブリヂストンは、電動自転車の製造において、技術を完全に共有しあっていました。
どういうことかというと…
モーター、バッテリーなどの電子部品はヤマハ製。
それ以外全ての、フレーム他、タイヤなど、自転車部品はブリヂストン製。
その為、両社のモデルは、ナチュラシリーズ(ヤマハ)やアシスタシリーズ(ブリヂストン)など、名前こそ違えど、性能面ではほぼ同一の物だったのです。
なので、数年前までのモデルでは、ヤマハとブリヂストンのバッテリーは互換性があり、両社を入れ替えて使うことも可能でした。
しかししかし。
最新モデルをよく見てみると、ヤマハのwithシリーズにはブリヂストン製の部品がほとんど使われていないようです。タイヤからもブリヂストンのロゴは消え、他社製の物となっていました。
一方ブリヂストンは、ヤマハ製モーターのモデルは残しつつも、主要モデルをほとんど自社製の両輪駆動搭載として発売し始めました。
しかも、それ以外の廉価モデルには、なんとパナソニック製モーターを搭載し始めたのです。
今年のブリヂストンのカタログは、3社のモーターを搭載した自転車全てが掲載されるというなかなかカオスなことになっています。
引用元:ブリヂストンサイクル株式会社
Ⓑがブリヂストン製、Ⓒがヤマハ製、Ⓓがパナソニック製になります。
なぜ、こんなよくわからない状況になってしまったのでしょうか?
ばん太が、営業さんから聞いたお話も交えつつ考察します。
不良対応の違い?
あなたは、有名なメーカーなら不良品も少なくて安心!と心のどこかで思っていませんか?
実際、自転車市場においてブリヂストンのブランド力はすさまじいです。
地域にもよるかもしれませんが、この春も7万円以上する通学用アルベルトがたくさん売れていきました。ブリヂストンなら安心!と思っていらっしゃるお客様が多い証拠でしょう。
しかし、実際には、リコールで回収になるまでにはいたらない(メーカーが”リコールにするほどではない”と判断した)不良がちまちまと出ることが意外とあるのです。
お客様が不良を訴えた場合のみ、交換対応を行う、といった感じです。クレームが来るのはお店に対してなので勘弁して欲しいところではありますが
例えば。
2014~2015年頃販売のヤマハとブリヂストンの電動自転車において、少しでも注油を怠るとチェーンがガチガチに固着するケースが相次ぎました。
ペダルをこぐと、ばつんばつんと音を立ててチェーンが引っかかってしまうのです。チェーンはブリヂストン製です。
本来、電動自転車のチェーンは錆対策をしたハイガードチェーンというものを使用しており、短期間で固着するというのはいくら注油を怠ったとしても通常起こり得ません。
この固着を直すのはなかなか骨の折れる作業であり、チェーンの交換をオススメすることが多かったです。
このようなケースの時、使用している部品は共通なのに、一方のメーカーさんは無償対応、もう一方のメーカーさんは仕様状況が悪いため有償交換、というように対応が異なる場合がありました。(その地域の営業さん次第なのかもしれませんが…)
営業さんは、はっきりとはおっしゃりませんでしたが、そういった対応の違いで少々仲が悪くなってきている…というお話をされていました。
また、子乗せ電動自転車の前輪ブレーキに搭載されていたブリヂストン製の「スマートコントロールブレーキ」という部品でも、年式によっては問題がちょくちょく起きていました。
ブレーキシュー(ブレーキのゴムです)がすり減ってくるといきなりブレーキが全く効かなくなったり、ブレーキ本体の剛性が低くぶち折れたり、などです。
当時はヤマハの子乗せ電動「kiss mini」シリーズなどにも使われていました。
現在はブリヂストンも対策品を新たに製造していますが、ヤマハは子乗せ電動自転車のブレーキを他社製のブレーキに変更しています。
このように、ブリヂストン側の部品に不備が出たケースが積み重なり、ヤマハのブリヂストン依存からの脱却が始まったのでしょうか。
もちろん、問題があった部品はどのメーカーも改良を重ねています。
ちなみにパナソニックもちょこちょこと不良が…というか、バッテリーのリコールがありましたね。
ある年のモデルでは、ライトがすぐに壊れてしまうというケースもあり、当店も対応に追われました。
保証期間の関係もあるので、「あれ?おかしいな?」と感じることがあれば早めに店舗に相談しましょう。
今後の3大メーカーの動きは?
ブリヂストンが3社のモーターのモデルを販売している理由を考察してみます。
まず、ブリヂストンとヤマハの協力体制に徐々に亀裂が入ってきていると考えましょう。
ヤマハはモーター、バッテリーに関して長年のノウハウがあるため、自転車部分を他社から調達し始めます。
一方ブリヂストンは、いつヤマハから電子部品の供給が絶たれてもいいよう、新たな自社製電動自転車の開発を考えます。昨今の自転車市場の状況を鑑みると、電動自転車の試乗から撤退するという選択肢はあり得ないのです。
(年々、電動自転車・スポーツ車以外の車種は販売数が減少し続けています)
ブリヂストンを代表するモデルといえば、アルベルト。これの電動モデルを発売しよう!…と思い立ったのかどうかは定かではありませんが、発表されたのが「アルベルトe」。
電動自転車市場においてブリヂストンのアイデンティティを出すために、ベルトドライブを搭載。ベルト式だと従来のセンタードライブは構造的に採用できないため、モーターは前輪駆動タイプに。おまけに回復充電もついちゃった!長持ち!新し~~~い!!
(ちなみに、前輪駆動+回生充電(回復充電と同義)のモデル自体はパナソニックからビビチャージというモデルが長年出ていましたが、いつの間にかひっそりとカタログから姿を消していました…)
でも、ブリヂストンオリジナルのモーターの製品がヒットするかはわからない…
ヤマハとの関係が不安定な中、もし自社モデルが大コケしたらヤバい…
そこで、細々とヤマハ製のモーターのモデルを販売しつつも、自社製品が失敗したときの保険の為にパナソニックにもモーターをお願いしよう!
…というのが、私なりに考察してみたブリヂストンの状況です。
今後の予想ですが…
アルベルトeから始まったブリヂストンの「デュアルドライブ」モデルはかなり好評なようで、現在モデル数を大幅に増やしています。
回生充電モデルの販売をやめてしまったパナソニックはブリヂストンの躍進を見て少々後悔しているかもしれません。
ブリヂストンがこのままリコールなど何らかの問題を起こさない限りは、このまま電動自転車市場拡大の波に乗り続け、販売数をさらに伸ばしていくと考えられます。
ブリヂストンのカタログから、まずヤマハ製、次いでパナソニック製のモデルが姿を消し、電動自転車市場のトップを牽引する未来も遠くないかもしれません。個人的にも、ブリヂストンのフロンティアシリーズの人気を店舗で感じ取っています。
当然、ヤマハとパナソニックも黙って見ていることは無いでしょう。ブリヂストンのデュアルドライブモデルが台頭するようであれば、この2社も回復充電のモデル、もしくは新たなコンセプトの電動自転車を発表することも十分あり得ます。パナソニックのラクイックは正直スベってしまった気がしますが…
海外に比べて電動自転車のスペック制限が厳しい日本において、今後どのようなトンでもスペックのモデルが発売されるのか…楽しみであります。
以上、ばん太の私見を大いに語るコラムでした。
眉唾な話ではありますが、このような背景を想像しつつカタログを比較してみるのも面白いかもしれませんね。
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